
ポーランド西部の主要都市ポズナンPoznańの近郊にあるヴォルシュティンWolsztynは昔から蒸気機関車で有名な街でした。蒸気機関車の全盛時代にここでは駅員以外にも多くのスタッフが機関庫で働き、蒸気機関車のメンテナンスに携わっていました。また蒸気機関車も20世紀の後半までポーランドのあちらこちらで見かけることができましたが、今では博物館など限られた場所だけになっています。
この博物館を訪れた時に、どうして蒸気機関車が走れなくなってしまったのかを若いころから長年運転士をしていたというガイドさんが残念そうな表情で教えてくれました。
蒸気機関車は運行のコストが高いほか、蒸気を出すための給水が必要になります。そのため以前に貸し切りでバルト海の町までを往復した際には、並走して石炭を積んだトラックが走り、途中の駅では給水のために消防車数台を待機させてタンクに水を入れたという苦労話があったそうです。
石炭はどこでも調達できるはずなのに、なぜ石炭を積んだトラックがわざわざついて走ったのかといえば、ヴォルシュティンのように機関車を抱えていた駅は石炭を大量に安価で入手できたからです。途中で購入するとなると値段が高くなってしまうから、車を並走させた方がずっと安かったのだそうです。また昔はどの駅にもあった大型給水設備が今は使えるものはもうほとんど残っていず、大量に短時間に給水するとなると複数の消防車のお世話にならざるを得ないというのも悩みです。このようにフォトジェニックで観光蒸気機関車を遠方まで動かすというのは本当にコストと手間がかかるのです。
さて、ここの蒸気機関車博物館の特別企画で、今週末はレトロな機関車と客車がポズナン⇄ヴォルシュティンを走ることになりました。
蒸気機関車だけでなく、客車の中には昔の懐古的な客車も連結されているそうですよ。昔の情緒がいっぱいの蒸気機関車の旅ができるチャンス!特別列車の時刻表は下記の通り。ヴォルシュティンを7時43分と14時に発車し、復路はポズナンを11時6分と16時59分に出る予定です。
ポズナン行き時刻表 土曜日 土曜日
ヴォルシュティン行き時刻表
この列車の切符はPKPポーランド国鉄の駅ならどの駅でも購入でき、運賃はひとり17.10ズウォティです。
ヴォルシュティン蒸気機関車博物館
情報:miastopoznaj.pl