ポーランドで高騰したバターと卵の話

地方都市のレストランでのランチ。プレートだけで日本円で750円ぐらい。

最近、ポーランドの物価についてお話する機会が何度かありましたが、かなり前の旅行経験やインターネットの体験記に基づいて激安と思っている方も多いんだなという印象を受けました。今のポーランドは日本から旅行するとドイツやイギリスに比べて物価は低めに見えますが、決して「激安国」ではありません。食費は日本の牛丼チェーンの値段に比較してどうでしょうかという質問もありましたが、代表的な牛丼チェーンの並盛の最高価格は380円の吉野家で、その値段をポーランド・ズウォティに換算すると11.5PLN。これはワルシャワやクラクフの特に高級というわけでもない飲食店のランチでもとても足りない金額です。ポーランドのお得感が高いという意味は、日本で激安といわれる食事に比べてさらにどのぐらい安いかというのではなく、例えば日本のレストランで5千円の食事を注文するなら、ポーランドではクオリティと量がずっと充実した食事をその半額から6、7割までの値段で、しかもかなり素敵な空間で楽しめる事です。
とはいっても、ユーロ圏や日本で高くなっている商品(たとえばポーランド陶器)などまだまだ安いと思えるものは見つかりますのでご自身の目でぜひ確かめてみてくださいね。

今日はポーランドでここのところずっと話題になっている食料品の高騰のなかで、ほとんどすべての料理やお菓子に関係のあるバターと卵の価格上昇についてまとめてみました。旅行とはダイレクトに関係が無いかもしれませんが、ポーランドで値段が上がっているということを実感していただけるかもしれません。

食料品の値上がり



上はポーランドのインフレ率、下は日本 source: tradingeconomics.com

ポーランドでは2016年後半からインフレ率がプラスになってきました。そのため商品やサービスの価格が値上がりしています。中でも日々の生活に密接な関係がある食品の値上がりを見ると2017年の上昇率は年5.8%になりました。去年の年末には、現地のニュースでもこんなに高い師走はないと言われていたぐらいで、ホテルやレストランの価格も前年同月比2.8%上昇しました。ポーランド中央統計局GUSの調べによれば昨年価格上昇が著しかった食品は次の通りになります。

バター31%、卵25%、果物10%、鶏肉 7%、野菜 3.5%、パン3%、

バターが高い

日本でもバターの高騰は話題になっていますが、ヨーロッパでも同様の傾向があります。ポーランドは2016年には約4.5万トン(内89%がEU向け)を輸出していますが、バターの価格は2015年から右肩上がりになっています。2016年11月のバター200gの価格は4PLN(今日のレートで約130円)となり、それはその前年に比べ3割近い価格上昇になっていました。ポーランドのバター消費量は国民1人当たり年間4.7キログラムで、日常生活から切り離せないだけにその高騰は庶民の台所への強烈な一撃となりました。そしてそれ以降も高値は続き、去年の夏には町中の小売店で7PLN(約230円)という表示まで出たほどです。その原因はポーランド国内で脱脂粉乳の生産が過剰になったことのほか、例えばアメリカがバターの輸入を増やし、中国ではバター価格が15%上昇、またロシアでもバター輸入量(2017年1月から5月期)50%増というような諸外国の事情が相まってのことではといわれています。

卵も高騰

卵も高くなりました。2017年11月末には前年同時期比45%の高値で、100個当たり54,9PLN(約1800円)にまでなり、5年来の最高価格の更新となりました。農業・農村開発省の調査では一般消費者向けに販売された卵のパックはLサイズ100個58.7PLN(前年比53%上昇)、Mサイズ同52.5PLN(前年比38%上昇)、食品加工用卵は1トンあたり7590PLNで前年の2.5倍にまで急激に高騰しています。卵1個の価格は昨年9月には0.52PLN(約17円、前年比6%高)で、良質なたんぱく質の供給源であり、朝食のスクランブルエッグからお菓子まで食生活には不可欠な食材の卵価格の上昇はバター同様に台所を預かる女性にとっては頭が痛い大問題です。
高騰の理由は大きく2つが考えられており、一つ目は昨年のベルギー、オランダ、ドイツでの殺虫剤フィプロニル混入卵流通事件で西欧へのポーランドからの卵の供給が急増したこと、二つ目は欧州内の鶏卵生産地として知られるイタリアで鳥インフルエンザが発生したことです。8月にフィプロニサル混入事件があってから、ポーランド国内からドイツ、オランダ、ハンガリーなどへの卵の輸出量が劇的に増えました。その結果として国内市場が品薄になり、卵がスーパーの売り場になくなった場所まで出るという異常な事態が起きたほどでした。理由は国外では1個あたり0.45から0.50PLNで買い取られているのが、国内での買い取りが0.37から0.39PLN程度という価格差があったからでした。農業・農村開発省によれば8月に輸出にまわされた鶏卵は5万トンで前年の倍の量でした。

中央統計局の調査では昨年10月のインフレ率は2.1%、11月には2.5%に上昇しており、なかでも価格上昇が激しかったのが食料品となっています。唯一安くなったのが洋服と靴(4.8%減)と発表されていますが、洋服や靴は日々購入するものではないため、賃金上昇率を上回る食料品やガソリンの値上げは国民にとって頭が痛い問題となりました。このような状況で、今年はサービス業においても値上げは避けられないのではと予測されています。ガイドブックも年に1度の改定があるだけで、旅行に行ったら掲載されている価格が変わっているということは十分あり得ます。また、古い年度のガイドブックをお持ちの方も案外いらっしゃるので、旅行に出かける前には訪れる場所の最新の価格情報を自分で調べてみるようにしたいところです。とくに再訪問でありがちな「前は安かったから」という考えは切り替えて宿から食事、入場料、交通機関まで予算に余裕を持たせた計画でトラブルの少ない旅行をお楽しみください。